夫婦間の話し合いで離婚の折り合いがつかない場合の対応
離婚することを決めた場合、多くの夫婦はまず当事者同士での話し合いから始めます。
しかし、感情の対立や離婚条件をめぐり話し合いが進まないこともあります。
今回は、当事者間の話し合いで離婚の折り合いがつかない場合にどのような法的手段があるのか、そして早期に専門家へ相談することの重要性について解説します。
日本の離婚は8割以上が協議離婚
日本の法律において、離婚の方法は大きく分けて協議、調停、訴訟の3種類がありますが、その中でも圧倒的に多いのが協議離婚です。
厚生労働省の統計データによれば、日本で成立する離婚の約8割から9割が、この協議離婚という形式をとっています。
協議離婚とは、裁判所などの公的機関を介さずに、夫婦が話し合いによって離婚することに合意し、市区町村役場に離婚届を提出することで成立する手続きです。
しかし、協議離婚は双方が合意していることが大前提となります。
一方が離婚を拒否していたり、財産分与や慰謝料の金額、あるいは子どもの養育費や親権を巡って意見が食い違ったりしている場合には、この方法で完結させることはできません。
当事者間の話し合いでまとまらないときの対応
夫婦2人の話し合いだけでは解決できない場合、次のような手段があります。
離婚調停で話し合いを行う
協議が決裂した際、最初に行われる法的な手続きが家庭裁判所への離婚調停の申し立てです。
離婚調停は、裁判官1名と、専門的な知見を持つ男女各1名の調停委員で構成される調停委員会が、当事者双方の間に入って話し合いを仲介する手続きです。
調停の大きな特徴は、夫婦が直接顔を合わせる必要がない点にあります。
それぞれが個別に調停室に呼ばれ、調停委員に対して自身の主張や希望を伝えます。
調停委員は、中立的な立場から双方の意見を整理し、法的な基準に基づいた妥当な着地点を提示してくれます。
たとえば、養育費の金額であれば、裁判所が公表している算定表を基に、お互いの収入に見合った具体的な数字が示されます。
第三者が仲介することで、当事者だけでは難しかった冷静な議論が可能になり、譲歩の余地が生まれることも多いです。
話し合いがまとまれば、その内容を記録した調停調書が作成されます。
この調書は裁判の判決と同じ強力な法的効力を持っており、もし相手が約束した支払いを怠った場合には、直ちに給与や預金などの差し押さえといった強制執行の手続きに移ることができます。
調停はあくまで話し合いの延長線上にあるため、どちらか一方が最後まで拒否し続ければ成立しませんが、合意が得られた際の実効性は極めて高い段階となります。
最終的に離婚訴訟で争う
調停を重ねても合意に至らなかった場合、最終的な解決手段として離婚訴訟を提起することになります。
訴訟は、話し合いではなく、裁判官が法と証拠に基づいて離婚を認めるかどうかおよび条件をどうするかを強制的に決定する手続きです。
日本では、いきなり訴訟を起こすことはできず、まずは調停を経なければならない調停前置主義が採用されています。
離婚訴訟においてもっとも重要となるのが、民法770条1項に定められた法定離婚事由の有無です。
具体的には、不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、強度の精神病、あるいは婚姻を継続し難い重大な事由(DVや性格の不一致の極致など)が認められなければ、裁判所は離婚を命じることができません。
訴訟の過程では、自身の主張を裏付けるための客観的な証拠が欠かせない要素となります。
訴訟は解決までに1年から2年程度の長い時間を要することが多く、費用や精神的な負担も大きくなります。
早期に弁護士へ相談すべき理由
離婚問題に直面した際、早期に弁護士へ相談すべき理由は以下の通りです。
紛争が大きくなった場合長期化するおそれがある
離婚トラブルが一度泥沼化してしまうと、解決までの期間が劇的に長くなる傾向があります。
当事者だけで話し合いを続け、互いに過去の不満をぶつけ合っている間に、半年、1年と時間が過ぎ去ってしまうことは珍しくありません。
弁護士は現在の状況を客観的に分析し、どのような解決がもっとも現実的であるかを提示できます。
早い段階で依頼することで結果として調停や訴訟になる前に解決する可能性が高まります。
また、財産分与における隠し財産の調査や、将来受け取る退職金の評価など、一般の方が見落としがちな項目についても、初期の段階から網羅的に把握することができます。
感情的な対立が激しくなると手段が限られる
夫婦間の対立が極限まで高まり、一言も口をきけないような状態になってからでは、取れる解決策が非常に限定されてしまいます。
感情の縺れは、論理的な判断力を奪い、相手を攻撃すること自体が目的となってしまう恐れがあるためです。
たとえば、相手を憎むあまりに、本来受け取れるはずの財産を放棄してでも早く別れたいと自暴自棄になったり、逆に相手を苦しめるために不当な高額請求を繰り返したりするケースです。
このような心理状態で結ばれた合意は、後に大きな後悔を生むだけでなく、法的に無効とされるリスクも孕んでいます。
また、感情的な激突によって、重要な証拠(不倫の証拠や日記、家計の記録など)を相手に隠されたり、処分されたりしてしまうことも少なくありません。
弁護士は、依頼者の代理人として相手方と交渉することができます。
法的な観点から弁護士が交渉を進めることで、精神的な負担の軽減にも繋がります。
まとめ
今回は、夫婦間の話し合いで離婚の折り合いがつかない場合の具体的な対応法と、早期相談のメリットについて解説しました。
離婚の問題は根深いケースもあるため、自力での解決に限界を感じたり、相手の不誠実な対応に悩んだりしている場合は、手遅れになる前に離婚問題に精通した弁護士などの専門家に相談することを検討してください。
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吉田 要介よしだ ようすけ / 千葉県弁護士会
松戸市を中心に、相続・遺言、離婚、交通事故、刑事事件など 幅広い分野の法律問題に対応しております。
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- AFP(アフィリエイテッド ファイナンシャル プランナー)
- 登録政治資金監査人
- 宅地建物取引主任者
- 行政書士
- 著書・論文
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- 2013年8月:慰謝料算定の実務「慰謝料算定の実務」千葉県弁護士会編
- 2015年12月:子どものいじめ問題ハンドブック--発見・対応から予防まで
- 2017年 6月:子どもの権利ガイドブック
- 2020年 10月:子どもの権利ガイドブック【第2版】
- 2024年 11月:子どもの権利ガイドブック【第3版】
- 記事監修
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- 書籍『離婚ナビサポートBOOK:10名の弁護士が、“損しない”離婚をナビゲートします』の監修を行いました
- 書籍『離婚ナビサポートBOOK:10名の弁護士が、“損しない”離婚をナビゲートします』の監修を行いました
- DVD監修
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- 2020年10月:
ドライバー向け交通安全教材
『あおり運転,厳罰化! 道路交通法改正と「あおられない運転」』
自転車通学生(中・高・大学生)向け自転車交通安全教材
『知ってほしい,自動車加害事故の現実 自転車通学をする生徒・学生のみなさんへ』
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